予防歯科
予防歯科
歯医者は歯が痛くなったり、むし歯の治療をしたりするときにだけ行くものと思っていませんか?もちろん、お口のトラブルに気づいたらできるだけ早く歯科を受診することが大切です。しかし、生涯を通してお口の健康を守るためには、病気を未然に防ぐ予防と病気の再発を防ぐメインテナンスが重要です。
歯を失う原因のほとんどはむし歯や歯周病で74%を占めます。つまり、これらを予防すれば歯を失うリスクを大幅に軽減できるのです。
「なぜ、むし歯や歯周病は起こるのか」
このことを理解できていないと予防はできません。病気の予防は、病気の原因を取り除くあるいは少なくすることです。ですから患者さん毎に病気の原因が多くなっているのか、あるいは少なくなっているのか、これを見極める必要があります。
むし歯を起こすのは甘いものだけではなく、炭水化物やブドウ糖、果糖です。甘くなくてもデンプン系の食べ物はむし歯を起こす原因になります。
ですから、むし歯予防ではできるだけ早く食べかすを取り除くことを最優先に考えます。口の中に棲み着いた菌は完全に追い出すことはできませんから、歯磨きで細菌の量を減らしてフッ素で歯を強くする。これがう蝕への対策です。
う蝕予防では、この患者さんのう蝕はなぜ起こっているのか、歯磨きが不十分なのか、あるいは食生活が乱れているのか、その原因を類推していくことが大事です。そうすることで、その患者さんに合った予防歯科というものができていきます。
一方歯周病については、ポケットからの出血が一番の問題です。歯周病菌は歯ぐきから出てくるタンパク質、特に血液中のタンパク質が最高の栄養素です。ですから歯を磨いて出血する場合、歯周病を起こす細菌がその血液中の栄養成分を食べてどんどん病原性を高めています。それらを断ち切るには歯ぐきからの出血を止めることが必要で、それには徹底したブラッシング(セルフケア)しかありません。
「予防」の基本は毎日の歯みがきですが、歯と歯の間や歯周ポケット(歯ぐきのすき間)、奥歯の噛み合わせの溝などの汚れは、セルフケアで完全に除去することは難しいです。そのため、毎日歯みがきをしていてもむし歯や歯周病になってしまうことがあるのです。
徹底的にお口の中の汚れを除去できるのが、歯科医師や歯科衛生士らによるプロフェッショナルケアです。
PMTCの大きな目的は、汚れや着色を除去し歯面をただ磨くのではなく、「バイオフィルム」と呼ばれる細菌の膜を破壊し、剥がし落とすことです。バイオフィルムは例えるなら排水口のヌメリのようなものです。排水口のヌメリがこすらなければ落ちないように、歯に棲みついたバイオフィルムは歯ブラシや歯間ブラシ、フロスなどでしか取れません。歯ブラシなどが届かないところのバイオフィルムを落とすのが歯科医師や歯科衛生士が行うPMTCです。
PMTCで使用するのは、回転式のブラシと汚れを落とすペーストです。適正な回転数や当てる部位を見極めて行っていきますので、歯ぐきや歯面そのものを傷つけることはありません。
着色があると、歯の表面にプラークがつきやすくなってしまいます。着色を除去するためには何が原因か把握しなければなりません。原因がわかれば、再付着を防ぐことができます。喫煙歴や毎日の食事、ご自身のセルフケア、使用している歯磨剤の種類などを一緒に振り返ってみましょう。
厚みのある着色の場合はPMTCだけでは取り切れないため、ほかの器具を組み合わせて除去します。また、汚れではなく歯そのものの色が暗い場合などもあります。
PMTCは一度受ければそれでよいということではありません。バイオフィルムは、100日程度で成熟し、それは繰り返されます。そのため、一般的に3カ月ごとを基準に繰り返しPMTCで口腔内をきれいにします。
もし3カ月に一度、定期的にPMTCを受けたとしても、365日のうちのたった4日に過ぎません。ですので、PMTCだけではなくご自身でセルフケアを日頃から行っていただくことが重要です。
セルフケアとプロフェッショナルケアを組み合わせることにより予防は最大の効果を発揮します。
日常的に行うセルフケアや生活習慣には、患者さん自身が気づかない癖や傾向があります。自分では「やっている」と思っていても磨けていないことや良いと思っている習慣がリスクになってしまうことがあるのです。
そのため、私たちと一緒に客観的に振り返り、その傾向に対して対策を共に考えましょう。口腔内を再評価し、口腔内が悪化しないように繰り返し予防策を講じていきます。口腔内や生活は常に変化していくものです。定期的に通っていただき、その変化に対応していきましょう。
一人ひとり歯並びも違いますし、歯みがきの仕方にも癖があります。セルフケアの指導では、各個人に合わせた歯みがきの方法や、歯ブラシ、歯間ブラシ、フロスの選び方などをお伝えし、ご自宅でのセルフケアをより効果的に行えるようにサポートいたします。
フッ素塗布は小児歯科専用と思われる方もいらっしゃるかと思いますが、成人のむし歯予防にも効果的です。
フッ素には「初期のむし歯を治す」「歯のエナメル質を強くする」「むし歯菌の活動を抑える」という効果が期待できます。定期的なフッ素塗布で歯をコーティングすることによって、むし歯を予防します。
3カ月に1回程度行うことが理想です。
むし歯菌は人から人に感染します。とくに問題となるのがミュータンス菌で、一旦口の中に大量に感染するとなかなか排除できないという大きな問題があります。実は、産まれたばかりの赤ちゃんにはむし歯菌(ミュータンス菌)がいません。赤ちゃんにむし歯菌がうつるのは、たいていご家族からです。密接に関わるお母さんが一番手で、口移しで食べさせたり、箸やスプーンを共有することでうつってしまいます。
むし歯菌に感染しやすい時期は、生後10カ月くらいで乳歯列が完成して、硬いものが食べられるようになる約2歳半といわれています。この間は赤ちゃんに使う箸やスプーンは専用のものにしたり、離乳食の際に咬み与えをしたりしないようにしましょう。
日頃の歯ブラシ習慣も大切になってきます。小さいころはお母さんが一緒に歯みがきを行うとともに、きちんと磨けているかの点検と仕上げをしてあげましょう。
1
問診票の記入
ご来院時、問診票のご記入をお願いします。
2
カウンセリング
医師がご記入いただいた問診票を確認しながら、お口に関するお悩みや気になっていることについて伺います。
3
歯周基本検査
むし歯や歯周病の状態、また、将来むし歯や歯周病になりやすそうな部分をチェックし説明します。
(必要に応じて、口腔内写真、レントゲン検査を行います)
また、すぐに治療が必要な歯がある場合には応急処置を行います。
4
プロフェッショナルケア
歯垢や歯石の除去、コーヒーやお茶、タバコなどによる歯表面の着色除去、フッ素塗布などを行います。また、お口の状態と生活環境に合わせて、食事アドバイスや正しいセルフケアについて指導します。